私は富山在住、20歳になるフリーターです。アルバイトをしながらイラストレーターを目指しています。
働いているバイト先には憧れの先輩がいます。
先輩は大学生なのに、既にイラストレーターとして活動していて、SNSでも人気があり最近は絵のお仕事も増えてきているそうです。
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そんな憧れの先輩と休憩中に話すチャンスがあり、声をかけてみました。
「先輩、実は私もイラストレーターを目指しているんです…。プロの機材を揃えるためにアルバイトでお金を貯めています。私も先輩のように、絵の仕事を頂けるように頑張りたいんです!」
そう声をかけると、思いもよらない答えが返ってきました…。
「もしかして、君は少し勘違いしてるんじゃない?
プロの機材を揃えたところで、絵は上達しないし、納得のいく絵も描けないよ。まずは体験を増やして感性を磨かなきゃ。」
※いい機材を揃えて、机に向かっているだけじゃいつまで経ってもプロにならないし、上達しない…つまりそう言われたんです。
続けて、最後にこう言われたんです。
「アルバイトしたお給料で、”富山県美術館”へ行ってみたら?美しい作品に触れて、感じて、まずは自分の内面から磨いていくべきだよ。」
先輩からこのようなアドバイスを頂き、自分が無知だったことに気がついて、凄く恥ずかしくなりました。
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なぜかというと…
私はイラストレーターを志しているのに、一度も美術館へ行った事がなかったんです。汗
※それどころか、“芸術”というものに触れた事すらなかったのです。
いい機材を揃えて、ただひたすら自分の好きな絵を描いていれば、いつかプロになれると信じていたんです。
※しかし、そんな単純な方法では絶対にプロとして活動できないとこの時、悟りました。
先輩に言われた通り、“美しい作品に触れて、感じて、まずは内面から自分を磨きたい”と思いました。
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そして私は休日を利用して、早速『富山県美術館』へ向かうことにしました。
2017年8月にオープンした『富山県美術館』
1981年から親しまれてきた「富山県立近代美術館」を閉館し、新たに「富山県美術館」としてリニューアルしました。
※場所は富山駅北口から徒歩約15分のところにあってアクセスも良好です。
到着して一番に驚いたのは富山県美術館の外観です。
「安曇野ちひろ美術館」などを手がけた高名な建築家・内藤廣さんが設計した美術館は、ガラスを多く配したホワイトキューブの外観が美しく、東西南3方向にそれぞれに大きなガラス面が設置されています。
注:イメージ画像(出典 Instagram)
今まで建物を意識して見たことなんて一度もありませんでした…。
プロの設計士が建てた美術館を鑑賞することは私にとって刺激的で、内面から磨くという意味がこの時ようやく分かってきたように思います。
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正面入り口から早速、“富山のアート”に触れることが出来ます。
注:イメージ画像(出典 Instagram)
一見、どこにでもある普通の扉に感じるのですが、よく見てみると…
実際はアルミに細かな粒々を施し、さらに鏡面磨きで艶も出しているそうです。触れてみると楽しい触感で、五感が刺激されます。
※アルミは富山の代表的な県産材のひとつです。施設内の外壁と内壁、天井にも富山のアルミが使用されていそうです。
見る方向や光の加減によってその表情が変化するのも魅力的でしたね。
注:イメージ画像(出典 Instagram)
階段を登って2階へ進むと高さ11mもある吹き抜けの空間が広がっています。
富山県美術館は道路に面しているため、本来なら道路の曲線に沿ってガラスもゆるやかにカーブするところですが、直線のラインで設計されています。
その理由は「立山連峰と平行に面するため」で、この大きな窓ガラスから見る景色はまるで絵画のようです。
注:イメージ画像(出典 Instagram)
環水公園も見渡せる方角なので、桜や新緑、雪など四季折々の自然の彩りも楽しめます。
※吹き抜けが気持ち良い開放的な空間では、コンサートなどのイベントが開催される事もあるそうです。
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2階からは屋外広場に出ることもできます。
注:イメージ画像(出典 Instagram)
屋外広場には「ANIMALS」で知られる彫刻家・三沢厚彦さん作の大中小のクマの彫刻が3体展示されています。
これは今回、私が一番楽しみにしていた展示物です。
※クマの姿を借りた阿弥陀如来が佐伯有頼を導き、開山させたという立山の故事・開山伝説にちなんで、クマを展示しているそうですよ。
注:イメージ画像(出典 Instagram)
見る方向によって、クマの表情が少しずつ変化するのも見所の一つ。
※見晴らしの良い場所に堂々と立ち尽くすクマを眺めていると、次第に心が癒されました。
私はこの日、”美術作品をじっくり鑑賞する時間の大切さ”を知りました。
注:イメージ画像(出典 Instagram)
そして3階には”椅子の展示室”があります。
世界中から選び抜かれた名作椅子がずらりと展示されていて、実際に座る事も可能なんです。
※ちなみに、収蔵されている椅子はなんと約240脚。約3ヶ月の展示替えで常に約50脚程度展示しているそうですよ。
貴重なヴィンテージものだけでなく、デザインが優れた量産品も展示されています。
注:イメージ画像(出典 Instagram)
正直言って、これまで椅子をアート作品だと感じたことは一度もありませんでした…。
しかし、実際に鑑賞して触れることで、デザイン性や座りごごちなど作者の深いこだわりを感じ取ることができました。
※富山県美術館を訪れ、アートに触れることで、人間の内面にある感情をどのように表現すべきか…。ということを学んだように思います。
富山にこんな素敵な美術館があることを教えて下さった先輩に、本当に感謝しています。
富山県美術館にはまだまだたくさんの見所あるので、これからも定期的に足を運びながら、イラストレーターとしての腕を磨いていきたいと思います。
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富山県美術館【HP】
住所:富山県富山市木場町3-20